PMDG737NGX 空調・与圧の設定

PMDG737NGXの操作を、東京羽田空港から大阪伊丹空港までのチュートリアルフライトを通じて詳しく解説!
第15回目は、空調・与圧の設定を実施します。

冷却・加熱装置等の設定・確認

最初に、オーバーヘッドパネルの、下のスクリーンショット部分の設定・確認をしていきます。

CENTRL LOWER OVERHEAD PANEL

両方の「EQUIPMENT COOLING」スイッチが「NORM」のポジションにあり、「OFF」ライトが消灯していることを確認します。このスイッチは、フライトデッキのパネルやディスプレイ・ユニットの冷却ファンのスイッチです。キャビンの空気と熱交換することで冷やします。

EQUIP COOLING Switch

「EMER EXIT LIGHTS」スイッチのガードを閉じます。ガードを閉じると、スイッチは「ARMED」ポジションになります。
「NOT ARMED」ライトが消灯することを確認します。

EMER LIGHTS Switch
「EMER EXIT LIGHTS」スイッチ

「EMER EXIT LIGHTS」スイッチが「ARMED」ポジションにあると、「No.1 DC BUS」が故障するか「AC Power」が切られた時、自動的に全ての「Emergency Exit Light」が点灯します。「Emergency Exit Light」は、後部フライトアテンダントパネルからもONにすることができます。「Emergency Exit Light」は各ライトのニッカドバッテリーにより、10分間点灯します。

「FASTEN BELTS」スイッチを「AUTO」か「ON」にします。一回左クリックすると「AUTO」で、二回左クリックすると「ON」になります。

Fasten Belt Switch
「FASTEN BELTS」ライト

「FASTEN BELTS」スイッチが「AUTO」ポジションの場合、ランディング・ギアとフラップが収納されると消灯します。ちなみに、PMDG737NGXに「NO SMOKING」スイッチはありません。エアラインでは世界的に禁煙になっているため、多くの航空機には、そのスイッチはもうありません。

4つの「WINDOW HEAT」スイッチを全て「ON」にします。「OVERHEAT」ライトが消灯していることと、「ON」ライトが点灯していることを確認します。

WINDOW HEAT
「WINDOW HEAT」スイッチ

「WINDOW HEAT」スイッチは、コックピット窓のヒーターのスイッチです。暑い地域や、暑い日で窓に直射日光が当たっている場合、「WINDOW HEAT」スイッチを「ON」にしているのに「ON」ライトが点灯しない場合があります。窓が冷えてきたら、自動的に「ON」になります

「WINDOW HEAT」スイッチを入れると、左側にある電力表示パネルの「AC AMPS」(使用電力量)の数値が変わります。実機と同様、使用する電力に応じて、この値は変わります。

AC AMPS

「WING ANTI-ICE」スイッチが「OFF」であることと、「L VALVE OPEN」ライトと「R VALVE OPEN」ライトが消灯していることを確認します。

WING ANTI-ICE Switch

両方の「ENGINE ANTI-ICE」スイッチが「OFF」であること、「COWL ANTI-ICE」ライトと「COWL VALVE OPEN」ライトが消灯してることを確認します。

Engine Anti-Ice Switch

油圧ポンプの確認

「ENG 1」と「ENG 2」の「HYD PUMPS」が「ON」であること、「ELEC 1」「ELEC 2」が「OFF」であることを確認します。

Hydraulic Pump Switches

空調温度パネルの確認

次に、空調温度パネルの確認に進みます。下のスクリーンショットの部分です

AIR TEMP

右上にある「AIR TEMP Source Selector」で、温度を確認したい区画を選択します。選択した区画の温度が、左側の温度計に表示されます。

AIR TEMP Source Selector
「AIR TEMP Source Selector」で選択する区画の意味
  • SUPPLY DUCT … エアの供給ダクトの温度
  • PASS CAB … 選択した前方・後方の乗客キャビンの温度
  • PACK … 選択した左・右のPACKの温度
「PACK」とは?

航空機の空調関係で、良く「PACK」という言葉がでてきますので解説します。
「PACK」とは「Pressurization and Air Conditioning Kit」の略で、機内の与圧と温度を保つことを目的に、エンジンの排気を冷却してキャビンに供給するコンプレッサーのことです。B737NGXにはエンジンが2つありますので、L, RのPACKがあります。

「TRIM AIR」スイッチが「ON」であることを確認します。このスイッチをONにすると、エンジンからの熱い空気を(「ブリード・エアー」といいます)機内に送るバルブを開きます。実際にはもう一つのバルブ(TRIM AIR MODULATION VALVES)を通過した後、PACKからの空気と混合されて機内に送られます。 与圧のためのものです。

TRIM AIR

「ZONE TEMP」ライトが消灯していることを確認します。

ZONE TEMP Lights
「ZONE TEMP」ライト

「ZONE TEMP」ライトは、以下の3つのエリアについて、それぞれダクトがオーバーヒートしたか、温度コントローラーが故障の場合に点灯します。

  • CONT CAB … コックピット
  • FWD CAB … キャビン前方
  • AFT CAB … キャビン後方

「ZONE TEMP」ライトに下に、それぞれのエリアの温度設定セレクタがあります。「AUTO」の位置が望ましいです。

Temperature Selectors

地上設備の切断

次に、地上設備からの支援を切り離します。【Shift】+【3】でFMC CDUを表示します。

【MENU】 → 【FS ACTIONS】 → 【GROUND CONNECTIONS】をPUSHしてください。

FMC CDU

現在は上のスクリーンショットのように、「GROUND POWER」と「AIR CONDITIONING」が「CONNECTED」になっています。

【LSK 2L】と【LSK 4L】をPUSHすると、地上電源とエアーを切断します。

GROUND DISCONNECTED

これで、航空機は地上の支援設備から切り離され、航空機の全てのシステムは機内の資源、装置でまかなわれるようになりました。

空調メインパネルの確認

次に、空調メインパネルの設定を確認していきます。下のスクリーンショットの部分です。

MAIN PNEUMATIC PANEL

「L RECIRC FAN」「R RECIRC FAN」スイッチを「AUTO」にします。このスイッチは、キャビンの空気のリサイクル・ファンのスイッチです。リサイクル・ファンは、キャビンの空気をフィルタを通して再循環させます。

RECIRC FAN Switches

「L PACK」「R PACK」スイッチを「AUTO」にします。

PACK Switches
「L PACK」「R PACK」スイッチ

「L PACK」「R PACK」スイッチが「AUTO」の場合、PACKの動作は次のようになります。

  • 両方のPACKが動作している時、それぞれのPACKの流量は「Low」に設定されます。
  • 片方のPACKが動作している時で、フラップアップで飛行中の場合、動作しているPACKの流量は「High」に設定されます。
  • 片方のPACKが動作している時で、APUを使用している場合(両方のエンジン・ブリードエア・スイッチがOFF)、流量は「High」に設定されます。

流量が「High」の場合、より多くの冷却空気を生成します。

「ISOLATION VALVE」スイッチを「ON」にします。ISOLATION VALVEは、エンジンからのブリード・エアを分離、混合するスイッチです。「ON」にするとOPENの状態になり、各エンジンからのエアは混合されて供給されます。

ISOLATION VALVE Open

「Engine1」「APU」「Engine2」の「BLEED」スイッチを全て「ON」にします。「DUAL BLEED」ライトが点灯することを確認します。
このスイッチをONにすると、ブリード・エアのバルブが開きます。現在はAPUが動いていますので、APUからのブリード・エアーが空調システムに利用されるようになります。APUからのエアが流入すると「DUCT PRESS」メーターが上昇します。

BLEED Switch
「DUAL BLEED」ライト

「DUAL BLEED」ライトは、APUのBLEEDがONの状態で、エンジン1か2のBLEEDがONの時に点灯する警告ライトです。なぜ「警告」かというと、この状態の時にメインエンジンのブリードエアが有効になると、メインエンジンからの高圧なエアがAPUに逆流し、APUを壊してしまう危険があるからです(現在は、メインエンジンは停止しているので、その心配はないです)。

「PACK TRIP」ライト、「WING-BODY OVERHEAT」ライト、「BLEED TRIP OFF」ライトが消灯していることを確認します。

PACK TRIP Lights
「PACK TRIP」ライト

「PACK TRIP」ライトはPACKの温度が制限値を超えた時に点灯します。関連するPACKのバルブは自動的に閉じられます。

「WING-BODY OVERHEAT」ライト

「WING-BODY OVERHEAT」ライトは、主翼前縁部やエンジン・ストラット(主翼とエンジンを垂直結合している部分)がオーバーヒートしている時に点灯し、エンジンからのブリード・エアーが漏れている可能性を示します。左側のライトはAPUダクトから漏れている場合にも点灯します。世界の高温地域では、漏れていなくても点灯することがあります。

「BLEED TRIP OFF」ライト

「BLEED TRIP OFF」ライトは、エンジンからのブリード・エアの温度や圧力が制限値を超えた場合に点灯します。エンジン・ブリードエアー・バルブは自動的に閉じられます。

与圧関係の確認

次に、与圧関係のパネルを確認していきます。下のスクリーンショットの部分です。

Pressurization Panel

「AUTO FAIL」ライト、「OFF SCHED DESCENT」ライトが消灯していることを確認します。

AUTO FAIL Light
「AUTO FAIL」ライト

「AUTO FAIL」ライトは、与圧の自動制御システムが故障の場合に点灯します。もし、片系のシステムのみ故障した場合、「ALTN」ライトも点灯し、片系だけで動作していることを示します。両系のシステムが故障した場合、このライトのみ点灯します。

「OFF SCHED DESCENT」ライト

「OFF SCHED DESCENT」ライトは、「OFF SCHEDULE DESCENT」のことで、次に説明する「FLT ALT」インジケーターに設定したクルーズ高度に達する前に、降下を開始したときに点灯します。

「FLT ALT」に今回のクルーズ高度である「24,000」をセットします。

SET Curise Altitude

「LAND ALT」に着陸滑走路の標高を「50」フィート単位に繰り上げた値をセットします。 今回着陸を予定しているRJOOのRW32Lの滑走路端のフィールド・エレベーションは31フィートですので、「50」をセットします。

SET LAND Altitude

以上で、空調・与圧関係パネルの設定は終了です。
次回は、機外に設置されている各種ライトの設定を実施します。