PMDG737NGXの操作を、東京羽田空港から大阪伊丹空港までのチュートリアルフライトを通じて詳しく解説!
第12回目は、フライトコントロール・ナビゲーション・燃料ポンプの設定を実施します。
今回から、PMDG737NGX付属マニュアル「Tutorial-2.pdf」の「COCKPIT PREFLIGHT FLOWS」部分の解説をしていきますが、この部分はちょっと量があるので、数ページに分けて解説を進めていきます。
このページで実施するのは、
- フライトコントロール(油圧系)
- ナビゲーション
- 燃料ポンプ
の設定です。多くのスイッチ類を確認していきますが、位置を覚えてしまえば、早く終わらせることができます。
【Shift】+【6】でオーバーヘッドパネルを表示します。
これから見ていくのは、上のスクリーンショットの黄色枠で囲った部分です。
左上の「FLT CONTROL A, B」のガードが閉じられていることを確認します。ガードが閉じられているとスイッチはONです。このスイッチがOFFになっていると、エルロン、エレベータ、ラダーは油圧から切り離されています。もうひとつ「STBY RUD」というポジションがありますが、待機系油圧を待機系ラダーに供給するポジションです。ノーマルオペレーションでは「ON」です。
「FLT CONTROL」の下にある「SPOILER A B」スイッチのガードが閉じられていることを確認します。ガードが閉じられているとスイッチはONです。このスイッチがOFFになっていると、スポイラーは油圧から切り離されています。
「YAW DAMPER」スイッチを「ON」にし、ライトが消灯することを確認します。バーチャルコックピットで操作していると、HGSプロジェクタのユニットが邪魔になってYAW DAMPERスイッチがほとんど見えません。その場合、邪魔になっているユニットを左クリックすると見えるようになります。
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「STANDBY HYD」の「LOW QUANTITY」ライトと「LOW PRESSURE」ライトが消灯していることを確認します。
「STBY RUD ON」ライトが消灯していることを確認します。このスイッチは、2003年に導入された「ラダーシステム強化プログラム」(RSEP:Rudder System Enhancement Program)を搭載している航空機に付いているもので、PMDG737NGXも該当します。RSEPは737シリーズのラダー過負荷によるインシデントに対応するもので、すべての737型機は、2008年11月までにRSEPを取り付けなければなりませんでした。
赤色の「ALTERNATE FLAPS」スイッチのガードが閉じられていることを確認します。ガードが閉じられているとスイッチはOFFです。また、その右側にある白いポジションスイッチが「OFF」であることを確認します。赤色のガードで閉じられているのはALTERNATE FLAPSのマスタースイッチで、これをARMにすると、右側のポジションスイッチが有効になります。
「ALTERNATE FLAPS」は通常の油圧によるフラップ操作が不能になった場合に備えた待機系のシステムです。ポジションスイッチの「DOWN」操作には2種類あります。
- 瞬間的に押す…前縁フラップ、前縁スラットを、待機系油圧を使って全展開します。
- 押し続ける…押し続けている間、後縁フラップを電気で展開します。
「UP」にすると、後縁フラップを電気で収納します。前縁フラップと前縁スラットは、待機系では収納することができません。
「FEEL DIFF PRESS」ライト、「SPEED TRIM FAIL」ライト、「MACH TRIM FAIL」ライト、「AUTO SLAT FAIL」ライトが全て消灯していることを確認します。
- 2系統ある油圧システムのどちらかが故障したとき。
- 垂直尾翼の根本あたりに付いている「エレベータ・ピトー」が故障したとき。
- スピードトリムが故障したとき。(スピードトリムは、離陸の際に軽い力で操縦桿を引けるよう調整するトリムです。)
- 「MASTER CAUTION」がRecallされた際、フライト・コントロール・コンピュータの一つのチャネルが故障している場合。「MASTER CAUTION」がリセットされると消灯。
- マッハトリムが故障したとき。マッハトリムは、マッハが増加した時に機首が下がるのを防止し、スピードを安定させるために、エレベータを調整するトリムです。
- 「MASTER CAUTION」がRecallされた時、フライト・コントロール・コンピュータの一つのチャネルが故障している場合。「MASTER CAUTION」がリセットされると消灯。
- オート・スラット・システムが故障したとき。(オート・スラット・システムは、失速に近づくと、自動的に前縁スラットを展開するシステムです。)
- 「MASTER CAUTION」がRecallされた際、SYMDコンピュータ(Stall Management/Yaw Damper Computer)の一つのチャネルが故障している場合。「MASTER CAUTION」がリセットされると消灯。
「NAVIGATION」パネルの、「VHF NAV」「IRS」「FMC」のスイッチが全て「NORMAL」のポジションにあることを確認します。これらのスイッチは「Transfer Switch」と呼ばれ、各システムに送られるデータソースを選択するスイッチです。例えば「VHF NAV」のスイッチは、VHFナビゲーションのデータに、2つある「VHF NAV レシーバー」(VORの電波を受信する)のどちらのデータを利用するか選択します。
「DISPLAYS」パネルの、「SOURCE」セレクターが「AUTO」のポジションにあること、「CONTROL PANEL」スイッチが「NORMAL」のポジションにあることを確認します。
B737NGには、6つのディスプレイユニット(DU)があり、2台のコンピュータ(DEU-1, DEU-2)でコントロールされています。
- AUTO … キャプテン側の2つのDUとセンターの上側DUは「DEU-1」によってコントロールされ、ファーストオフィサー側の2つのDUとセンターの下側DUは「DEU-2」によってコントロールされます。
- ALL ON 1 … 全DUが「DEU-1」によってコントロールされます。
- ALL ON 2 … 全DUが「DEU-2」によってコントロールされます。
- NORMAL … 左側の「EFIS CONTROL PANEL」はキャプテンのディスプレイをコントロールし、右側の「EFIS CONTROL PANEL」はファーストオフィサーのディスプレイをコントロールします。
- 「BOTH ON 1」または「BOTH ON 2」… 選択された片方の「EFIS CONTROL PANEL」で両方のディスプレイをコントロールします。
次に、「FUEL PANEL」の確認をします。「ENG VALVE CLOSED」ライトと「SPAR VALVE CLOSES」ライトが暗く点灯していることを確認します。
このライトは、燃料遮断弁である「エンジンバルブ」と「スパーバルブ」の状態を示します。「エンジンバルブ」は「HMU」(Hydro Mechanical Unit)と呼ばれる装置内にある燃料遮断弁で、「スパーバルブ」は主翼の桁にある燃料遮断弁です。
- 消灯している場合 … それぞれのバルブが「OPEN」の状態(燃料遮断弁が開いている)。
- 暗く点灯している場合 … それぞれのバルブが「CLOSE」の状態(燃料遮断弁が閉じている)。
- 明るく点灯している場合 … それぞれのバルブが動作中(開きつつあるか閉じつつある)か、バルブの状態とエンジンスタートレバー等のスイッチのポジションが矛盾している時。
「FILTER BYPASS」ライトが消灯していることを確認します。このライトが消灯している時は、燃料は各エンジンに1つあるフィルターを通して供給されています。ライトが点灯している場合、フィルターに目詰まりが生じている等の理由で、フィルターを通らずに直接エンジンに燃料が供給されていることを意味します。
「CROSS FEED」セレクターが「CLOSED」であることと、「VALVE OPEN」ライトが消灯していることを確認します。このライトが消灯している時、No.1エンジンとNo.2エンジンそれぞれの燃料供給ラインは分離しています。ライトが点灯している場合、それぞれの燃料供給ラインは結合(燃料が混合)されています。
6つある「FUEL PUMP」スイッチが全て「OFF」であることを確認します。また、「CENTER TANK LOW PRESSURE」ライトが消灯していること、「MAIN TANK LOW PRESSURE」ライトが点灯していることを確認します。
- 点灯 … ポンプの出力が低く、かつ、ポンプのスイッチがONのとき。
- 消灯 … ポンプの出力が通常、または、ポンプのスイッチがOFFのとき。
- 点灯 … ポンプの出力が低い、または、ポンプのスイッチがOFFのとき。
- 消灯 … ポンプの出力が通常。
※現在は全てのポンプスイッチはOFFになっていますので、「CENTER TANK LOW PRESSURE」ライトは消灯し、「MAIN TANK LOW PRESSURE」ライトは点灯しています。
このページは以上で終了です。
次回は、電気系統の設定を行っていきます。